前衆議院議員 愛知和男の公式サイト:

ホーム > オピニオンレター > 286号 「後期高齢者医療制度」

286号 「後期高齢者医療制度」

「後期高齢者医療制度は、老若を問わず、国民全体にとって必要な制度である」

後期高齢者医療制度の評判は極めて悪い。ネーミングが悪かったことは認めるが、内容について、多くの逆宣伝にさらされ、国民の誤解を招いている面も大きい。特に野党は、敢えて国民の間に誤解を広め、政府与党に対する批判を強めるための材料にしていると言わざるをえない。一見政策論争の体裁をとりながら、実態は政局の具としているのである。政党として許すことの出来ない姿勢であると断ぜざるをえない。

そもそもこの制度が導入されるに至った経緯を簡単に振り返ってみると、日本では世界に誇れる制度として国民皆保険が1961年にスタートしたが、高齢者が治療を受けたときに窓口で支払う費用が5割と高かったためもあり、73年に高齢者が窓口で支払う医療費を公費で支払う老人医療費支給制度が始まった。つまり無料になった。ところがこれにより、70歳以上の人が医療機関にかかる率が急増してしまった。いわゆる「待合室のサロン化」であり「ハシゴ受診」「乱診乱療」である。これに伴って高齢者のための医療費も急増してしまい、国民健康保険などは深刻な財政難に陥ってしまった。そこで高齢者の医療費を別枠にする老人保健制度が創設され、国民健康保険、被用者保険の両制度から拠出金を出して費用を賄うことになった。それに伴い、窓口負担も無料から一割負担へと変更された。

しかしながらこの方式では、巨額の拠出金を強いられる被用者保険から、先々どれだけ負担が増えるのかわからない、どのように拠出金が使われているか不透明である、などといった批判が強まった。

こういった点を改革するのと、従来、国民健康保険は市町村が保険者であったので、市町村間の格差が看過出来ないほど大きくなったので、この問題を解消する必要に迫られてきたと言う現実があるのである。(新制度では実質的に県単位とすることになった)

こうした背景をもとに関係者の激論を経て、法律により平成18年に導入が決定したのが、いわゆるこの度の後期高齢者医療制度である。法律が成立して2年間、実施のための準備がすすめられ、今年度から実施された訳である。

もっぱら批判されているいくつかの点について言えば、まず、年金からの保険料の天引きについては、払っていた保険料の支払い方法が変わったというに過ぎないことなので、天引きがけしからんというのは全く的外れな批判である。

この制度を廃止すべきだなどという野党の主張に対して、健保組合などが、とんでもないという声を上げてしかるべきではないか。廃止してもとの制度になったら、巨額な拠出金を出さなければならなくなるのである。

この制度の導入は高齢者に早く死ねということだ、といった真に無責任な批判もあるが、

どうしてこんなばかげた批判が出てくるのか理解に苦しむ。医療費における無駄を少なくするという効果を狙ったところはあるにしても、高齢者に早く死ねなどといったことなどを考えた制度を創設するはずがない。

また今まで受けられていた治療が受けられなくなるといった声もきかれるが、そのようなことが新制度に盛り込まれていることもない。

そもそも健康管理は自己責任で行うべきものである。老いも若きも国民ひとりひとりが、病気にならないように健康管理を強化することが基本である。しかし止むを得ず病を得てしまった人に対しては、老いも若きも、それぞれの力に合わせてこれらの人を助けるといった基本的理念を実現するための制度が必要なのである。

高齢者になっても、自らの健康を管理して病気にならないように、或いは怪我などをしないように努力することは当然のことである。

今回の制度は、細部にわたって若干の修正を要する点はあるだろうが、これらの理念を実現する目的を持ったものであり、基本的には必要な制度であることを強調したい。