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278号 「なぜ国民投票法でこんなに大騒ぎするのか」

国民投票法案が国会に提出されて約一年たって、やっとのことで先週、衆議院を通過して現在参議院で審議が行われている。

衆議院の憲法調査特別委員会での採決が、採決すること自体に野党が強行に反対し続けたので、これ以上採決しない理由が立たなくなったと判断した委員長が職権で採決を諮ったため、委員会議場が大騒ぎになり、その様子が報道されたので、いったいなぜこんな騒ぎになったのか、不思議に思われた国民も多かったものと思う。しかもそのうちのかなりの人たちが、なぜこんなにまでして国民投票法を成立させなければならないのか、不思議に思ったのではないかと心配する。

そこで今回の当レターでは国民投票法の持つ意味、与党の基本的姿勢などについて、次回は国民投票法の概要を述べることにする。

現憲法には96条に改正手続きの規定がある。すなわち国会議員の三分の二以上の多数で憲法改正案を作成し、それを国民投票にかけて過半数の賛成を得られたら憲法改正が成立するという規定である。ところが国民投票をどのようにして行うかを規定した法律がないのが現状である。本来は現憲法が成立した直後に国民投票に関する法律を制定しておかなければならなかったのであるから、いわば現憲法は欠陥商品なのである。

なぜ今日まで、憲法が、いわば欠陥商品のまま放置されてきたかといえば、憲法が政治的にタブーになってしまって、憲法改正に一言でも触れようものなら、たちまち政治的ダメージを被ることになるという有様であった。閣僚のポストを失った人も何人もいたことはご承知の通りである。

こういった政界の状態では改正手続きのための法律をつくることなど論外であった。

ところが最近では、マスコミ各社の世論調査の結果によれば、およそ70%近くの人が憲法改正の必要性を感じているという事実が明白になった。もっとも現憲法の、どこをどのように改正するかという点では意見は大きな幅があることはもちろんであるが。

このような事実を踏まえれば、憲法を改正したくても手続き上改正できない現状は、一刻も早く解消するのが政治の責任であるということで、今回の国民投票法案の国会提出になったのである。

憲法改正に絶対反対の勢力、政党では共産党と社民党であるが、これらの勢力は国民投票法がなければ憲法改正をしようとしてもできないのだから、いまの状態が最良の状態なのである。逆にいえば国民投票法ができること自体を何としても阻止したいのである。国民投票法の内容はどうでもいいのである。その政党が国民投票法案を審議する国会の委員会に出席して、提出されている法案の内容にあれこれ質問したり注文をつけたり、慎重審議と称して審議の引き延ばしをはかったり、さらにけしからんのは、ヨーロッパ諸国に実施した二度にわたる委員会の海外調査に平気で参加したことである。何をしに海外調査に出かけたのか。

一方民主党であるが、この政党は基本的には国民投票法の存在の必要性を認識していて、一年前の審議入りの時点では、自公民で共同してひとつの法律として国会に提出しようと非公式の作業をすすめていたところが、党首が途中で前原誠司氏から小沢一郎氏に変わったとたんに対応ががらりと変わってしまったのである。どのように変わったかといえば、野党共闘を重視するということになってしまったのである。つまり共産党、社民党との共闘を重視し、与党と共同して一本の法律にすることはまかりならんということになってしまった。国民投票法が全くの政治イッシュー、あるいは政局イッシューということになってしまったのである。そして委員会の審議を如何に遅らすか、如何にして成立を阻止するかという戦術に徹底することになってしまった。

その結果、冒頭に述べたような姿で議決せざるを得なくなってしまったのである。

国民投票法ができると直ちに憲法改正作業が始まるのではないかと言う誤解が国民の一部にある。

今回の法律が成立すると、次回国会(秋に予想される臨時国会)で国会に憲法審議会が常設機関として設置されることになっている。この審議会では、法律によって、3年間、現憲法に関するあらゆる角度からの調査を中心にした審議を行い、改正案つくりはできないことになっている。そして3年を経過した後、いよいよ改正案つくりにとりかかることができるが、改正案つくりに何年かかるかはいまの時点ではわからない。そのときの政治状況によるからである。

いずれにせよ今回の国民投票法が成立しても、実際の憲法改正までには、今から少なくても4年はかかるということである。この点も正しく理解していただく必要があると思う。

憲法施行60周年記念にあたる今年5月3日の憲法記念日までに、国民投票法が成立していることを切に望むものである。

尚、次回の当レターでは国民投票法の内容の概要を述べることにする。