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266号 「安倍外交に望むこと」

 安倍新首相は外交方針として「主張する外交」を掲げているが、これだけではあまり意味がないのではないか。

日本の外交に最も欠けているのは戦略性ではないか。私は「戦略的外交」を標榜してほしかったと思っている。

日米基軸にはもちろん異論はないが、日米関係を基軸に据える戦略は何か、日本にとっての最大にして永久の外交課題である対中国外交を推進していく上での戦略がその中核だ、というメッセージが国民に十分伝わっているとは思えない。

対中国、対韓国では日中関係、日韓関係が良くなることだけが重要なのではない。小泉前首相は首脳会談ができなくても両国関係は貿易関係、人的交流、文化的交流などが拡大していて問題ないではないか、とよくいっていたが、本当にそうか。日本が国際社会でしかるべき役割を果たしていこうとするときに、中国や韓国が日本の足を引っ張るようなことが起きてしまったのでは日本にとって大きなマイナスである。日本の行動に対して、特に中国は多くの場合反対の姿勢をとってきているが、これは首脳間の関係がうまくいっていなかった事が大きく影響している、といっていいだろう。

日本がこれから国際社会でしかるべき役割を果たして、結果的に世界から尊敬を集め敬愛される国家となるためには、まずアジアの諸国からの支持がなければならない。

私は、かねてから、日本にとってのアジア地域は、政治家にとっての選挙区のようなもので、アジア諸国からの支持は日本の外交にとって決定的に大切だと主張してきた。ところが国際社会での日本の活動に対してアジアからの支持が必ずしも充分にあるとはいえないのが現状である。

安倍首相が就任早々中国、韓国を訪問して首脳会談を行うことになったのはまことに 結構なことであるが、その際、それぞれ二国間の関係を改善するというだけでなく、国際社会での協力を呼びかける姿勢を強調してほしいと思う。

特に次期国連事務総長に韓国の外交通商相が就任することが確定的になったこともあり、韓国に対しては、新事務総長を徹底的に支えていく姿勢を強調することも大切であろう。

今までの日本の外交方針で日米関係に次いでの大きな柱は国連中心主義であったが、安倍政権の外交方針からは国連中心主義はまったく姿を消してしまっている。これをどう解釈するか。昨年の安保理事会常任理事国入りが失敗してしまったように、国連を中心とする我が国の外交には大きな限界があるのは事実であるのと同時に、国としての存立を国連にすっかり預けることなどできるわけがないから、もういい加減にいわゆる国連中心主義の旗を降ろしたほうがいいのかもしれないとは思うが、しかし国際社会で日本がしかるべき役割を立派に果たしていくことの必要性はますます高まっているのも事実である。まさに安倍首相が強調する世界から尊敬されるような国になるための戦略をどのように構築するかということである。私は国連の安保理事会常任理事国入り一本やりではなく、例えば国連に新たに「地球環境理事会」の創設などを働きかけるなど、もっと多角的な戦略があってもいいのではないかとかねてから主張している。

安倍首相にはいわゆるマルチ外交の重要性を充分認識してほしい。
マルチ外交で成果を上げられるような発想と体制が外務省に欠けているのが現状であるから尚のことである。